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株式会社フレスカ(焼肉業態)

理念の落とし込みとユニークなオペレーション定義でCS向上を実現

株式会社フレスカ(焼肉業態)

株式会社フレスカ

岡山県岡山市南区泉田28-5

ウェブサイト:http://www.fresca-co.jp/

『季刊MS&コンサルティング 2009年夏号』掲載
取材:西山博貢、文:藤平吉郎
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
ファミリー向け焼肉店の「ぐりぐり家」など4業態で、直営11店舗、ライセンス5店舗を展開、系列会社で精肉加工場も持つ株式会社フレスカ。5年前から社内教育の強化に取り組み、理念浸透、店長育成、アルバイトの戦力化に注力し、従業員定着率を向上させた。この半年間はオペレーション改善に着目。ミステリーショッピングリサーチ(MSR)の評価も、当初の156点から今では全店平均170点台にまで飛躍的に改善させた。その秘訣を石井進代表取締役に伺った。

焼き方と食べ方の提案で、焼肉のイメージ変革にチャレンジ

石井進代表取締役

石井進代表取締役

フレスカが店舗展開するのは、不況の煽りを強く受ける地方工業都市の住宅街が中心だ。「ファミリーや若者のグループが外食に行こうと考えた時、岡山では焼肉、寿司、ビュッフェが3本指として挙げられます。少しよそ行き感がありながらも、敷居が低く、値ごろ感とレジャー感の両立です。この不況の中で、これまでは高単価の業態が、客単価を下げてきている。そんな中、チープではなく、食通が唸るような食事で値ごろ感のある業態を目指しています」と石井社長は話す。

同社では、系列会社に食肉卸加工の工場を持っているため、以前から新鮮で質の高い肉を安価に提供する企業として評価されていた。ところが、肉の質が高いだけではお客様は離れていってしまうことから、社員教育を5年前から強化してきた。

「焼肉奉行」シール

「焼肉奉行」シール

興味深い施策として、焼き肉をレジャー感覚で楽しんでもらうために、「免許皆伝・焼肉奉行」という制度を作った。

これは、焼肉の焼き方と食べ方を理解し実践しているスタッフとお客様に、認定の証として「焼肉奉行」シールをプレゼントするという仕組みである。スタッフの認定は、社内でテストを行い合格しなければならないが、お客様はスタッフに焼き方を教わり、その場で上手に焼ければすぐにシールが手渡される。これにより、スタッフにもお客様にも焼肉の本当の素晴らしさを知ってもらおうというのが狙いだ。

「全ての料理は、『食材のよさ』と『調理』半々で決まりますが、焼肉は『焼く』という調理をお客様にして頂いていると考えています。しかし、一番美味しい焼き方を知らないお客様も多いです。そこで、お客様にもエンターテインメントとして焼き方を身に付けて頂きたいという想いで作りましたが、逆にスタッフも、単にお肉を出すだけではなく、『自信を持って焼き方を伝えられる』という意識が高まったと思います」(石井社長)

岡山県久米工場:精肉加工工場では、店舗で商品として提供されるときのことまで考えて肉の加工を行っている。この連携が、同社の強みの一つだ。

岡山県久米工場:精肉加工工場では、店舗で商品として提供されるときのことまで考えて肉の加工を行っている。この連携が、同社の強みの一つだ。

また、同社は焼肉店としては珍しく、包み野菜のサニーレタスを何皿注文してもお代わり無料。むしろ、積極的に一緒に食べることをスタッフが勧めている。

「『医食同源』という考え方を重視しています。『焼肉=おいしいけれど不健康』というイメージがありますが、これはお肉しか食べないからです。野菜を一緒に食べる韓国では、日本ほど焼肉を不健康と捉えていません。野菜を一緒に食べてもらって、焼肉に対する見方を変えて行きたいと考えています。このサニーレタスは、価格にすれば1皿300円程度になりますが、それでは野菜と一緒に焼肉を食べてもらうという想いが実現できない。健康的な食べ方を提案し、ヘルシーで美味しい焼肉を味わって頂くほうが店にとって良いのです」と、焼肉の焼き方や食べ方にまで踏み込む接客の重要性を石井社長は強調する。

 経営理念を現場のサービスに浸透させるのが理想

BMP(Benchmarking Program)経営者会議:全社員が経営者感覚を身に付けることを目指し、5年前から開始した社内勉強会。業績、人財育成、従業員満足、顧客満足、仕組み化をテーマとし、毎月継続して行っている。

BMP(Benchmarking Program)経営者会議:全社員が経営者感覚を身に付けることを目指し、5年前から開始した社内勉強会。業績、人財育成、従業員満足、顧客満足、仕組み化をテーマとし、毎月継続して行っている。

「弊社は創業3年目に発生したBSE問題で、経営の危機がありました。その後、何度も苦難はありましたが、結局、お客様に喜んで頂けるお店は業績を伸ばしてきました。経営側がアイデアを出して現場に伝えても、現場が理解して実行してくれなければ、お客様には伝わらない。経営理念も行動指針も、掲げているだけでは浸透しない。いかに現場に伝え、行動に変えることができるか。その手ごたえを、ようやく半年前から感じてきました。だからこそ、お客様の評価や業績に繋がっているのだと思います」(石井社長)

同社では、7年前に経営理念の原型を作った。社長が自ら、何のために経営しているのかを書面にまとめたものである。理念を浸透させるために、全社員が理念を語る発表会を行い、朝礼で毎朝唱和させた。ところが、やらされ感が強く、覚えはしても行動が伴わなかった。

そこで1年前、経営理念を社員全員で作り変えたことをきっかけに、変化が見え始める。出来上がった新しい理念は、旧理念に近いものでありながら、「自分たちで作った」という感覚から理解が進み、そこから店長たちが自発的に「店長理念」を作った。例えば、“お客様と共に喜びを共有できる「美味しい物業」を目指します”という理念に対して、ある店長は「挨拶と居心地の良さに関してはどこにも負けない店舗を創ること」を掲げるなど、店長が自分の言葉で理念の落とし込みを行ったものだ。それらの店長理念を社内の勉強会等で互いに説明できる場を設けると、次第に理念が浸透し始めた。

人財育成と理念教育を同時に行うツール「幸せのレシピ」

吉田徹也 営業部長

吉田徹也 営業部長

「アルバイトへの理念浸透も、全員参加型のアプローチで成功させている。具体的には「幸せのレシピ」という表現手段を採った。これは、同社の考え方、基本的なルール、サービスに取り組む姿勢やクレーム対応のポイントなどを、誰にでも分かる平易な言葉で表現したものだ。

「これまでのアルバイト初期教育は、現場の店長任せで、理念の浸透度合いも弱かった。「通常なら、初期教育マニュアルを作るべきところだと思います。ただ、マニュアルでは浸透しないということを感じていましたので、新人アルバイトにこれを渡して、自分で考えてもらいます。そうすると、マニュアルに自分の意識を加味できる。経営理念を身近に感じてもらえ、マニュアルの意味も理解しやすくなります。マニュアルがテクニックなら、「幸せのレシピ」は理念に基づいた思想教育であり、理念実践の指針です。マニュアルは大切ですが、なぜなのかが分からないと、モチベーションが上がりません。また、幸せのレシピを作ったことで、伝え方のぶれが少なくなりました」と吉田徹也 営業部長(右写真)。