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CSの根本にあるのは、スタッフも誇れる「料理の美味しさ」

炭火串焼台所ちっきん(居酒屋業態)

炭火串焼台所ちっきん

埼玉県さいたま市浦和区北浦和3-5-1 1F

会社ウェブサイト:http://www.e-kitchen.jp/

『フードビジネス通信 2008年3月号』掲載
取材:西山博貢
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
2007年5月にオープンし、ミステリーショッピングリサーチを開始した同11月から1月まで、3ヶ月連続で全国トップクラスに輝いた『炭火串焼台所 ちっきん』。PAとの信頼関係や距離感を大切にしているだけでなく、スタッフ自らが自信を持てる料理の提供に力を入れている遠藤社長に、好調の秘訣を伺った。

飲食を始められた経緯について教えてください。

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代表取締役 社長 遠藤 修弘氏

飲食店舗を経営したいとは昔から考えていました。お店を持つには店舗スタッフの気持ちを理解しなければなりませんから、まずは現場で経験を積むことが大事だと考えました。

飲食業界で最初に就職したのは、モスフードサービスの初めてのフルサービスレストラン「四季の旬菜料理 AEN」です。そのマーチャンダイジング全般を請け負っていた銀座「泥武士」の方に、美味しい料理とは何かを学びました。「泥武士」の方々は、野菜をはじめ日本中のおいしい食材を集めるトップランナーのような方々ばかりで、本当に美味しい食材だけをお客様に提供するための作業を中心に行っていました。社長には「どんな過程を辿っても、最終的にはお客様に喜んで頂くために仕事をしているのだ」という考え方を叩き込まれました。飲食業は華やかなイメージがあったのですが、そこで、とても泥臭い業界だと気付かされました。

しかし、来店されたお客様がどれだけ喜んでいるかを直で見ることができるのは醍醐味ですね。自分の店舗を経営している現在でも、「お客様に喜んで頂くために仕事している」という考え方は変わっていません。

「原点に立って考える」「自分のため」に働く

ミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)でお客様の評価が高い秘訣は何ですか?

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11月のMSR開始以来、年末・年始の繁盛期にもかかわらず圧倒的な高得点をキープする「ちっきん」

大切なのは、“お客様が何を目的として来店されているのか”を社長や店長が自分の中で明確に捉えることです。私は、それが“料理の美味しさ”“快適な空間”“スタッフとのコミュニケーション”の順にあると考えています。

まず飲食店のCSの根本にあるものは料理のおいしさだと考えます。当社では、「泥武士」で仕入れている質の高い調味料を産地から直接仕入れさせて頂いています。当社がMSRで高得点を取れたのは、現場スタッフが「自店の料理の味はどこにも負けない」と自負してくれているからでしょう。

また、一緒に来店する方との楽しい時間を大切にしたいお客様もいらっしゃいますので、快適な環境を整えることも重要です。寒い時は膝掛けをお貸ししたり、取り皿を適度に交換したり、テーブルが埋まっていたら料理の提供スピードを遅らせたりと、気配りが大事だと思います。すべて当たり前のことばかりですが、凡時徹底はとても難しいことですからね。

つまり、この2点のうち1つでも欠けたら、お客様に満足して頂けないと思います。これらをクリアしたうえで、お客様とのコミュニケーションを深め信頼関係を築いていけば、リピート率が上がるでしょう。

「料理の美味しさ」という点で、焼き鳥業態を選ばれた理由は何でしょうか?

焼き鳥業態は、一般的に原価が安いことや定着率が高いことが言われますが、提供する料理の質にこだわっているので、食材原価が40%を超えるものもあります。調味料も一般の2~3倍はしますが、実質的な食材の質と比べれば安いものだと思っています。

そこで、“美味しい物とは何か、美味しい物をどのように提供すれば良いか”という原点に立って考えました。美味しい食材は、余計な手をかけると味をマイナスにしてしまうことがあるからです。焼き鳥は、おいしい肉を炭で焼き上げ塩かタレを付けて味わうわけですから、実は非常に優れた調理方法なのです。その上で、現地に赴き出会った“霧島どり”という食材に魅力を感じ、焼き鳥業態を始めることにしました。

お客様にリピート頂くために工夫されていることはありますか?

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当社の理念のキーワードは、心を込めたおもてなしです。おもてなしは、お客様との信頼関係があるからこそできることだと思います。そうした意味で、当社ではお通し代やサービス料は頂きません。割引・お通し代の金額は上乗せの金額ですから、最初から頂かない料金設定にしたほうがお客様に喜んでもらえますし、口コミでも広がりやすいと考えているからです。

良い成績を維持していくためには、トップに立つ社長や店長が基準を元に明確に判断して現場スタッフに伝えていくことが大切です。

理念がスタッフに浸透している秘訣は何でしょうか?

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『炭火焼肉台所 ちっきん』がオープンしたのは2007年5月です。また、当社には社員がおらず私以外は全員PAで、ほとんどがオープニングスタッフです。

理念の浸透について言うと、まず、採用の面接では、1人に1時間半~2時間くらいかけました。私がやりたいことをめいっぱい伝え、面接を受けた方が何をしたいのかもしっかりと聴きます。目標を持っている方には、過程に何があるかを教えてあげることが重要だからです。さらに「ここで私達と一緒に働くことがあなたの人生にどう繋がるか」というお話もします。仕事だけでなくどんな場面においても一番大事なのは、「何のために・誰のために働いているか」という目的意識だと考えているからです。そして、その矢印が最終的には「自分のため」に向いていることが一番大切だと思うのです。ですから、その後も、お客様のためにとった行動が結果的に自分に返って来るということを、普段からスタッフに知ってもらうようにしています。

それに、スタッフの努力に対する評価も大切です。毎月給料を手渡しする際には「あなたはこれだけ頑張りましたね。あなたの働きがこんな風に役立ちました」と1ヶ月を振り返り、努力の先にはお客様の喜びがあることを伝えています。目に見える評価としては、お店の売上げに応じてPAの給料に歩合を付けています。良いお店になれば自分への待遇も向上するので、嬉しいことですよね。

自店で働いた経験を、スタッフの未来に活かしてほしい

ミーティングはどのような形で行っていますか?

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写真・不動直樹さんと:「お店の基盤づくりに大きな力を発揮してくれたのが彼です。常にスタッフのモチベーションを最大限に引き出してくれました。今は大学生ですが、住宅業界に就職することが決まっています。しかし、住宅業界でも飲食業界でも、「何のために働いているのか」という芯はぶれないと思っています。自分の道を信じ、能力を最大限に活かして努力していってほしいですね。」

同じ時間を共有することに意味があると思いますので、月に1度、全員が参加するミーティングを行っています。私の発言率は10%にも満たないですね。店舗で問題が起きた時にも、「どうして問題が発生したのか、問題を起こさないためにはどうすれば良いか」を問いかけますが、私からは解決策は出さないようにしています。私が話したことを実践してもらうより、スタッフに自ら問題の改善策を考えて行動するという意識を芽生えさせて伸ばしていくことが、強い業態を作るために重要だからです。

また、間違いは誰でも起こすので、間違ってしまった行動に対しては怒りません。ただ、「何に向いて仕事をしているか」がぶれてしまった時だけは徹底的に叱ります。お客様に喜んで頂けなければ、仕事しているとは言えないからです。個人の体調や感情が出てしまうこともあると思いますが、仕方なく出てしまうケースと妥協して出してしまうケースがあると思います。しかし、妥協して出さないことが、今後の人生にも大事だと思っています。軸がしっかりしていると、同じ立場で仕事ができます。最近では私の方がスタッフに怒られることもあり、時にはミーティングの議題に挙がってしまうこともあるほど成長してきているので、ありがたいですね。

私が以前在籍していた「くふ楽」では、このようにスタッフが成長するために必要な働きかけをたくさん学ばせて頂きました。そのおかげで良いスタッフが成長できているのだと感謝しています。

2店舗目、3店舗目も同じ業態にする予定でしょうか?

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同じ業態をもっと大きな街に出店することも魅力的ですね。ただ、当社での経験をスタッフの後の人生に活活かしてもらうことも重要なので、スタッフが力を付けるためには違う業態の方が面白いと思います。業態が異なればさまざまな勉強ができますし、各従業員に合う店舗で働いてもらうこともできるのではないかと考えています。柱となる業態がしっかりとしていて、芯がぶれなければ、他の店舗では提供する食材やスタイルが変わっても問題ないと考えています。技術より概念が大切です。独立志向の社員が修行できる場を作れたらいいですね。

店舗が成り立っているのは、スタッフ全員の力のおかげ

最後に、MSRを導入されたご感想をお聞かせ下さい。

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MSレポートで200点満点を取った日は私が店舗にいない日でしたし、3ヶ月連続で全国のMSR導入企業の中でトップクラスの成績を達成できたことはスタッフの皆の意識の高さの表れなので、大変ありがたいと思いますし、誇りに感じています。

しかし、「初心忘れるべからず」ではないですけれど、自信を持つことが大事ですが、うぬぼれてはいけないと思います。

MSレポートの客観的評価はとても大切にしていきたいです。スタッフは、私が思っていることとして伝えるより、お客様が感じていることとして伝えたほうが、よく聞いてくれます。お客様の声として伝える手段で1番強力に効果を発揮できるのがMSRです。とても良い仕組みだと思っています。

使い方としては、問題点を見つけ、指摘してもらって改善活動を行えるように、ミーティングで活用しています。

私の仕事はスタッフが働きやすい環境を作り、スタッフに生き生きと活躍してもらうことで、お客様に喜んでもらうための流れを作るだけです。MSRで1番になるのも嬉しいですが、何よりもお客様にとって1番でありたいですね。

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