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自分のためから従業員のため、そして今は世の中のために。会社の成長と共に変わる「働くことの意義」

株式会社エスワイフード(居酒屋業態)

株式会社エスワイフード

名古屋市東区葵2丁目14番29号 スカイレジデンス太平801号号

会社ウェブサイト:http://www.yamachan.co.jp/

『フードビジネス通信 2008年1月号』掲載
取材:児玉彩子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
26年前に4坪の焼とり屋からスタートし、現在では全国に50店舗を展開する『世界の山ちゃん』の株式会社エスワイフード。企業規模を拡大していく中での考えの変化や、経営課題について、代表取締役の山本重雄氏にお話を伺った。

現在、世界の山ちゃんの他、テイクアウト専門店、通信販売、またラーメン業態と積極的に事業拡大を行っておられますが、一時期は出店を控えた時期もあると伺いました。事業規模の拡大ということについて、社長のお考えをお聞かせ下さい。

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代表取締役 山本重雄氏

山本社長:紆余曲折がありますが、弊社の歴史をお話いたしますと、弊社はもともと私が一人で始めた4坪の屋台のような焼とり屋からスタートしています。

なぜ私が焼とり屋を始めたかというと、ある時に「あなたも一億円貯められる」という本を読みました。その本には「飲食店は10年くらいで一億円貯められる。特に焼とり屋が良い」と書いてあったのです。当時金利が8%くらいあって、金利800万円で利息生活をしようと考えたのでした。何しろ小さな店で家賃も安いですし、私一人でやっていますから人件費もなし、それと当時は朝5時まで営業をやったのですが、まだそういう店が少なかったものですから、夜遊びの学生さんや飲食店で働いているような方を中心に人気が出まして、開店から3年で約1000万円を貯めきりました。本に書いてあったことはウソでもないなと思ったのですが、でも、このままだと1億円ためるのに30年かかる。店を増やせば、もっと早く1億円貯められるんじゃないかと思って、もっと広い店に移転して、店を増やして行きました。

その後しばらくは、出店してもあまりうまくいかずに閉店するということを繰り返した時期もありましたが、山ちゃん名物“幻の手羽先”の人気が出たことと、名古屋では珍しかった3層の大型店を出したことで、ぐんと利益率が上がるようになりました。ありがたいことにその後の経営は順調で、東京、札幌、熊本と、次々と出店していけるようになりました。

ところが、ある時「もうこれくらいでいいかな」と思うようになった時期がありました。今から2~3年前のことです。会社の知名度が上がり、それなりの収入も得て、満足してしまったというのもありますが、何より、店を増やそうにも人がなかなか集まらないのです。このまま無理に店を増やしても、人材のレベルが追いつかなくて空中分解してしまうのではないかという不安がありました。それで「今年は店を出さない」と宣言した年もあります。

現在、人材不足は業界全体の課題ですがどのようにお考えですか?

山本社長:4坪の店をスタートした時は、自分だけのため、お金を稼ぐために仕事をしていました。しかし、その後、それだけでは駄目だと気付き、社員を守るため、会社を強くする事が大事と気付きました。自分たちのために会社を大きくすることを追求して参りました。

しかし最近になって、自分たちのことしか考えてないから駄目なんだということに思い至ったんです。会社に人が集まらないというのは、つまり、会社が世の中から認められていないからです。

お客様にお店に来てもらうために、私たちは一生懸命お客様のことを考えます。だからこそ、お客様は店に来て下さる。店員が自分たちのことしか考えていないような店には、誰も行きたいと思わないでしょう。それと同じで、自分たちのことばかり考えているような会社に、人は集まらない。だから、私たちが社会のことを考えて、会社自体が世の中に認められるようにしていかないと、これ以上は大きくできないと思うのです。

ですから現在は、まずは会社のやっていることを世の中に認めてもらうための活動をしなければならないと考えています。店だけではなく、会社自体を認めてもらうこと、それを目標に取り組んでいきたいと思っています。

「世界の山ちゃん」「幻の手羽先」は、いまや非常に強力なブランドに成長していますが、その成功要因は何だとお考えですか?

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山本社長:手羽先は、一人で店をやっていた頃からほとんどレシピを変えていないんですよ。どちらかと言えば、キャッチコピーを付けたり、割り箸の袋に“食べ方”を書いてみたり、売り方のほうを変えてきました。

それも、「手羽先を看板商品にしていこう」というような狙いが先にあったわけではありません。何しろ元々は、「串かつ・やきとり 山ちゃん」だったんです。それが、やってみたら手羽先が一番人気が出たので、それならということで「手羽先 山ちゃん」に変えて、それだけだと寂しいかと思って「幻の手羽先屋 世界の山ちゃん」にした。似顔絵入りの看板も、ある方からいただいた名刺に似顔絵が入っていたのを見て、真似して看板に入れてみたら非常に反応が良かったという経緯があります。

私がおもしろがっていろいろやってみて、その中でお客様に受け入れられたものを残したら、今の形になっていったというのが正しいところで、山ちゃんブランドは計算づくで作り上げたというよりは、お客様に育ててもらったものだと思っています。強いて言うのなら、私は決して職人気質ではないので、先入観にとらわれずに、良さそうなこと、おもしろそうなことを柔軟に受け入れていったということが良かったのではないでしょうか。

先ほど、多店舗展開を進めていく上での難しさについてお話がありましたが、ミステリーショッピングリサーチ(以下MSR)を導入された理由も、店舗拡大に伴う課題の解決というところにあるのでしょうか?

山本社長:そうですね。店を拡げたことで、「自分の手の届かないところでやっている」という感覚が強くなったことは確かです。皆それぞれ一生懸命やっているんですよ、私から見えないだけで。しかし、店舗数が増えることによって、地理的に離れた場所にある店舗の様子がわからないだけではなく、名古屋にある店舗までも見えなくなってしまって、悶々とするというような状態となってしまいました。

それと、実際に私が店に行っても、なかなか改善ができないんですね、小さなことが。本当に「こんなことが、どうしてできないの?」というくらいのこともなかなかできないので、これは一度、外部の方の意見をもらいながら取り組んだほうが良いかなと思ったという理由もあります。

導入して、どのような変化がありましたか? また現場ではどのように受け止められていますか?

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山本社長:MS&Cさんとおつきあいすることによって一番大きく変わったのは、皆の意識ですね。もちろんこれまでもアンケートは自分たちでやってきて、お客様の意見はどんどん取り入れてきましたし、褒められたことや注意されたことの内容は皆に発信してきたんですけれど、その活用方法の研修も含めて、MSRを導入して外部の方の意見を取り入れることで、皆の意識がかなり変わってきたと思います。そういう面で、すごく良かったです。

また、導入のタイミングとしてもちょうど良かったと思っています。というのも、弊社ではこれまで作戦会議というものを行っていました。それ以前は戦略会議だったんですけれど、楽しみながら取り組めるようにというので作戦会議と名前を変えまして、内容もお客様へのサプライズのサービスを考えて「○○作戦」と作戦名を考えて…というようなことをやっていました。

ただ、それだとお客様と戦うということになってしまうので、それはちょっと違うかなと思うようになって、今度は感動会議に変更したんです。これは、皆で感動したことを発表しあう会議です。ちょうどそのタイミングでMS&Cさんとのおつきあいが始まったわけですが、MS&Cさんでも顧客感動満足、従業員感動満足といったように、感動ということを非常に重視した取組をされていますから、社員の中でもさらにそういったところの意識に拍車がかかったという面があるのではないでしょうか。

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松川マネージャー

松川マネージャー:そうですね、やはりお客様に対する気持ちや接し方が変わってきたという点は大きいと思います。

以前やっていた研修や店長勉強会は、たとえば「接客はお客様との戦いだ、声が小さいと駄目だ」というようなことで、皆で声を張り上げたりといった体育会系的なことをやってきました。業務についても、「こうやれ」と上から指示されたことについて、「わかりました!」と、一生懸命に言われた通りやるという感じですね。今振り返れば、当時はそういうことが必要な時期だったのだと思いますが。

ただ、MS&Cさんにご指導いただくようになって、皆の意識の方向が変わったというか、店長や上司ではなく、お客様のほうを向くようになり、その気持ちを表現するためのやり方は違ってもいいということがわかってきたので、自分の頭で考えて、工夫をするようになってきました。

今では、毎月のモニターチェックシートを本当に楽しみに待っている人がたくさん出てきて、そういう部分の意識がとても変わったと感じます。

最後に、今後の展望について教えて下さい。

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山本社長:社会のためにとか、日本を変えるとか、非常に大それたことを言っていますが、でも、目標ってそんなものだとも思うんです。たとえば登山家も、エベレストであるとか、普通に考えたら行けそうもないところに行くからこそ、登頂のときの喜びがあるのだし、目標が大きくないとおもしろくない。

私は昔、まだ店が一店舗の時に、「目標、年商100億円」というのを店に張り出して、さらにプリントしたTシャツまで作ってユニフォームにして、お客様から笑われたことがあります。でも、その頃は年商を百億円に出来るなんて全く思ってはいませんでした。ちなみに、現在の年商は71億円です。

そして、社会貢献というのはそんなに手が届かないところにあるものではないとも思うんです。今やりたいと思っているのは、地域の飲食店の経営者や店長、アルバイトのスタッフを集めての勉強会です。会社の垣根を越えた情報交換をし、私たちのノウハウの中からも使えるものがあったらどんどん提供して、お互いに勉強しあう。そういうことも、社会に対する価値提供のひとつだと思いますし、これは自分たちにとっても為になることでもあります。

これまで、よく従業員を集めての研修の場などで、私は「今日は誰のために研修を受けに来たの?」という質問をしていました。自分のための研修だから、しっかり聞きなさいという意味ですね。ただこれもよく考えてみると、自分のためというのではまだ甘いんです。「今日の研修で学んだことを、今度はあなたが講師になって店のスタッフに教えて下さい」と…つまり部下のため、他の人のためと思ってやったら、身の入り方が違ってきます。結局、他の人のためと思って勉強することが、何より自分にとっての勉強にもなる。ですから、そういう意味でもこういう勉強会はぜひ始めたいと思っています。

また、改めて新しいことを始めなくても、店舗で毎日スタッフが一生懸命働いている、これも社会に対する一つの貢献だと思います。スタッフが笑顔で楽しそうに働いているのを見て、お客様が「あの子、あんなに一生懸命働いている。自分もがんばらないといけないな」とか、そういうことを少しでも思ってもらえたら、それは誇らしいことだと思います。

自分たちのサービスに感動してもらうことが、お客様の気持ちを変え、地域社会を変え、日本を変え、世界を変える。それが、今の私たちの使命だと思っています。世界を変えるなんて大きな話ですが、年商100億の目標を立てたのと同じ感覚ですよ。いずれは、「山ちゃんに食べに行こう」と思ってもらえるのと同じように、「この会社で働きたい」というふうに思ってもらえるように、社会のために何ができるかを考え、取り組んでいきたいと思います。

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