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会社の拡大は、まず人ありき。
全国で「わたみん家」300店展開を目指す。

ワタミダイレクトフランチャイズシステムズ株式会社(居酒屋業態)

ワタミダイレクトフランチャイズシステムズ株式会社

東京都大田区羽田1丁目1番地3号

会社ウェブサイト:http://www.watami.co.jp/

『フードビジネス通信 2008年1月号』掲載
取材:渋谷行秀
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
ワタミグループの社員の独立を支援するというミッションを掲げ、「わたみん家」を全国で100店展開するワタミDFS。設立から3年間、急ピッチで出店を行ってきた同社では現在、次のステージを目指すためのプロジェクトを進行している。

御社では今年の4月から、「わたみん家」300店舗の出店を目指す「Vアクション300」というプロジェクトに取り組まれていますが、このプロジェクト発足のきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

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代表取締役COO 桑原 豊氏

我々がワタミダイレクトフランチャイズシステムズ(以下、ワタミDFS)という会社を作って今年でちょうど3年、おかげさまで店舗数も100店を超え、現在は300店の出店を目標とした取り組みを始めています。やはり、チェーン展開をする上で次の壁となってくるのは300店だと思いますので。

そして、この目標を目指していく上で何が一番必要となるかというと、まさに人なんですね。人というのも、ただ人数がいれば良いということではもちろんなくて、ワタミDFSという会社を、一緒になって考えて、一緒に成長させていける、そういう人の集まりを作っていかなければ、300店という数字は見えてこないだろうと思っています。僕はそういう人を“クリエイティブマネージャー”と呼んでいますが、自ら目標を立てて、問題を発見して、解決するという繰り返しを行っていける、そういうクリエイティブな能力を持った人が必要となってくるわけです。

では、そういう人を育てるにはどうしたら良いのだろうかということで、人材育成ノウハウをお持ちのMS&Cさんに相談をさせていただいたということから、この「Vアクション300」というプロジェクトが始まっています。

ワタミグループと言えば、人材教育に非常に力を入れていらっしゃるグループですから、社内にもたくさんの人材育成ノウハウがおありかと思いますが、今回外部のMS&Cを使った狙いというのはどこにあったのでしょうか?

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たしかに、弊社にも独自の研修体系はあるのですが、これは過去のワタミグループの中で培われてきた技術研修的な要素の強いものなんです。技術研修はもちろん大事ですけれども、一方で、先ほど言いましたようなクリエイティブマネージャーを育成していくための研修、問題解決型の研修となりますと、残念ながら社内にはそういったプログラムがないのが現状です。

それと言いますのも、これまで急成長・急拡大でやってきた弊社では、目先の問題について、方法論まで含めて指示を出して、とにかく確実に早く解決していくということが求められてきましたし、それに応じたトップダウンの傾向が強い組織となっていたからです。これまではそうしたやり方が必要な時期だったと考えていますが、会社の成長が次のステージへと移った現在、我々自身も改めて勉強していかなければならないということで、今年の4月からMS&Cさんに支援をお願いさせていただきました。

具体的には、HERB研修(※)という、PAさんの育成と活性化を目的とした、店長を対象とする研修を行っていただきましたが、この研修に参加させていただいて思いましたのは、PAさんの育成や活性化の必要性はみんなわかっているし、PAさんに何をどう教えるかというプログラムもあって、既に取り組んでいるわけです。しかし、では、そういうプログラムを考える人を育てるプログラムがあるかというと、弊社にはそれがないのですね。ですから、研修の対象者は店長なんですけれど、むしろ部長やエリアマネージャーといったクラスの管理職の育成を、研修の一番の目的として考えています。

※HERB研修とは、以下の4つの頭文字を取った半年間の改善プログラム。Hospitality:おもてなしの心、して差し上げたいと思う気持ちの醸成、EIS:従業員感動満足、スタッフのマインド向上、Realization:気づきの教育、お客様の気持ちを考える、Benchmarking:成功事例の共有、成功事例から改善ポイントを整理。研修プログラムには、店長向けとPA向けがあり、今回ご紹介しているのは店長向け「HERBリーダーシップ研修」。

現在、一年間のプロジェクトの折り返し地点を過ぎ、弊社の研修パートが終わりましたが、その成果や、取り組まれてみてのご感想はいかがでしょうか?

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MS&Cさんの研修を受けてまず一番にハッとさせられたのは、たとえば挨拶をするという簡単な行動であっても、必ず目的があり、その目的に応じたやり方があるということです。HERB研修の際に分離礼という方法を教えていただきましたが、今では弊社の全ての研修会や会議の最初と最後は、必ずこの分離礼を行っています。これはつまり、少なくとも人に対して興味を示せるようになったということだと思いますので、これがまず一つの研修成果だと感じています。

それから、もう一つ具体的な成果として感じているのは、店長の店舗ミーティングに対する意識とその内容が、ガラッと変わってきたということです。正確に言うと、これについてはまだ、全ての店長が変わったとは言えない段階で、変わってきたのは割合にして全体の約三分の一くらいだと思いますが、それでもすごい変化だと思っています。弊社ではこれまでも店舗ミーティングを行ってはいましたが、従来のミーティングは強制的に行うものであり、やらねばならないものとして位置づけられてきました。ところが今は、店舗ミーティングをしないと店が良くならない、メンバーさんたちが楽しく働けない、自分の店だというロイヤリティが感じられない…、「だから、やろう」というふうに、自分から必要性を感じて、積極的にやるようになってきています。

それと、さらに重要な変化だと感じているのは、ミーティングの際に店長がちゃんと準備をしてくるようになったことです。今までは行き当たりばったりに、連絡事項を伝達するような内容のミーティングが大半でした。そんなミーティングだから、つまらないし、意義が感じられない。ところが、MS&Cさんの研修で、店舗ミーティングの意義とやり方を教わって以降は、店長が工夫して、「今回のミーティングでは、何について考えて、何を決めるんだ」ということを、事前にきちんと考えるようになってきました。さらに、ミーティングのスタイルも変わって、今までは店長が一方的に話していたのが、メンバーさんたちの声を十分聞き取るようになりました。その結果として、メンバーさんたちが「自分たちの決めたことだから」といって、全員で取り組むようになったとか、店で良い循環がどんどん回るようになってきています。

こうした変化によってお客様が直接増えるのかと言えば、そういうわけではないかもしれませんが、僕はそれで良いと思っています。どんな小さなことでも良い、何かを自分たちで考えて、自分たちで決めて、やってみて、結果を見て、翌月さらに良くするためにどうしようかと考える。その繰り返しができるようになったというのが、一番の成果だと思います。こうしたことに取り組み始めた三分の一の店長たちは、今その成果が出始めて、「店長ってこんなにおもしろいんだ」ということを感じていることと思いますし、こういう実体験があれば、今後この店長たちは、間違いなくクリエイティブマネージャーへと成長していけるだろうと思います。ですから、研修の手ごたえは「大あり」だと感じています。

数字面での成果はいかがでしょうか。

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先ほど申しましたように、まだ全体の三分の一の店長の行動が変わったくらいのレベルですから、数字面の成果を見るにはもう少し継続した取組が必要だと考えています。店の業績がたったの二ヶ月、三ヶ月で劇的に変わるかというと、なかなかそうはいかないと思いますので。

僕の考えでは、4月から始めたこのプロジェクトの成果を確認する一つ目のポイントは12月だと思っています。なぜかというと、12月は我々にとって、一番忙しい月です。しかし、黙って待っていてお客様が来て下さるわけではありません。つまり、12月のことを見越した動きが事前にできていなければ、12月になってからでは間にあいません。ですから、それまでの動きが一番わかりやすく数字に反映される月ということで、12月が一つ目のポイント。そして、ここでの成功事例を我々がピックアップして、横展開して、その成果を見る第二のポイントが、年度の締めくくりである3月というふうに考えています。

何事に関しても効率が重視される風潮がありますけれども、こと教育に関しては、効率を追求できる部分と、そうではない部分とがあると思いますし、まさに今取り組んでいる研修というのは、効率だけを求めると成果が非常に薄くなる、そういう性質のものだと思いますので、もちろん教育のために無限に資源をつぎ込めるわけではありませんが、早急に数字ばかりを追いかけるのではなく、どこがベストの着地点なのかということを常に探しながら、考えていきたいと思っています。

御社は、ワタミグループの中でも「独立を目指す社員を支援する」という戦略的意味合いを持った会社ですが、今後のどのような取り組みをお考えでしょうか?

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これまでは急速なペースで出店を続けてきましたので、経常利益ベースでは当然赤字でしたが、3年目となる今年は会社として収益を出していきたいというのが、まず一つです。これができて初めて、「わたみん家」という業態が世の中に本当の意味で受け入れていただけたという確認ができるのだと思います。

また、来年以降についても、全都道府県に出店することを目標として「わたみん家」を中心として出店を続けていきます。これはなぜかと言いますと、独立志向のある方は、やはり「自分の故郷に店を出したい」と考えている方が多いのですね。ですから、独立して、どこの都道府県で店を出したとしても、物流や人材などあらゆる面でバックアップできるようにしたいと意味で、そうした目標を掲げています。

ただ、「わたみん家」という業態一つでは、全国で300店から400店を出すのが上限ではないかと思っています。しかし、現在のワタミグループの社員数と、独立志向の人の割合から考えますと、おそらく1000人以上はそういう考えを持った人がいるはずでして、これでは独立したいけど店が出せないという状態になってくることが予想されますので、現在既に、「わたみん家」の次の業態の企画にも着手しており、この業態に合わせて独立制度も変えていきたいと考えています。

「わたみん家」という業態は、40~60坪くらいで、立地も良い場所、つまりコストがかなり高い店舗が標準モデルですので、店の経営の難易度も高いですし、365日、長時間営業しなければ効率が悪くなります。これは、こういうモデルだということで仕方がないことでもあり、またこの業態が持つ強さでもありますが、一方で独立を希望する社員の声を聞いていますと、「自分が店主としてお客様と接していきたい、だから飲食で独立したいんだ」という人もたくさんいます。ですから、この次の業態は、独立だけを考えた業態を作ろうということで、コストを抑えた小型店を考えています。立地についても、「わたみん家」のような大商圏ではなく、住宅地の駅側などで、40代から60代くらいの世代を主客層とした業態にしていきたいと考えていまして、来春には1号店をお目見えできるように、準備しているところです。

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