なお、同社では毎年、優秀ステーションの表彰をしているが(右写真)、以前は様々な指標を用い、数値をポイント化して評価を行っていた。しかし、自店は現在どの位置にいるかを把握しにくい内容であったため評価指標を見直し、BEP(損益分岐点)・メンテナンス収益比率・ミステリーショッピングの3つに絞った。さらに、指標毎に明確な数値基準を設け、表彰基準の透明化を図った。ミステリーショッピングについてはA~Eのランク付けを行っているが、それが新評価基準において特に重要な位置付けとなっている。例えば、最高位の「TACSトリプルクラウン」は、ミステリーショッピング総合評価「A」を取ることが前提となっており、その上でBEPが7以下(フルサービスSS)もしくは5以下(セルフサービスSS)、メンテナンス収益比率110%以上をクリアすることが基準となっている。これは、BEPなどの数値評価はもちろん大事だが、お客様のことをしっかり見ていなければ、長い目で見ると経営が立ちゆかなくなるとの考え方からだ。
TACS2009では、TACSトリプルクラウン・TACSグランプリ・JOMOカードグランプリの3つの表彰基準が設けられた。ミステリーショッピングの評価やメンテナンス収益比率などが評価指標となっており、全国から選ばれた優秀なSSが賞賛を浴びる。
ミステリーショッピングと共に2006年から取り組みを始めた活動が「気づき」である。現場の生の声を収集し、それを業務の改善やサービス向上につなげるのが目的だ。毎日の生活で何気なくやり過ごしていることも、ちょっと視点を変えるだけで、新たな発見をすることができる。具体的には、クルーが店頭や普段の生活の中で気付いたことやお客様からの要望などを「気づきメモ」に記入後、SS内はもちろん会社全体でその内容を共有し、業務改善やサービス向上に取り組んでいる。
クルーが提出した「気づきメモ」(次ページで紹介)の内容が実際に採用されるようになると、モチベーションが自然に高まっていった。特約店(※1)によっては、業務改善やサービス向上につながる「気づき」を提出した社員を表彰する制度を設けている。また、ある特約店では社内にイントラネット(※2)を導入。「気づき」を会社全体で共有するだけでなく、誰でもコメントできるようにした。経営幹部もコメントを入れることでクルーのやる気を引き出し、会社の一体感を醸成している。
(※1)特約店:同社と燃料契約を結び、JOMOステーションを運営する会社。
(※2)イントラネット:インターネットを利用し、社内用に構築したネットワーク。
さらに、「気づき」の成功事例を全国のSSに伝え共有してもらうため、2007年4月からは本社に集まった事例を編集し、月1回FAXで「気づき通信(写真・次ページ右下)」を配信。同時に、素晴らしい「気づき」を引き出すための手法を学ぶ「気づき研修」も始め、運営店やSSの気づき活動をバックアップしている。
リテールサポート部の尾中寛行氏
リテールサポート部の尾中寛行氏(右写真)は、「気づき」を根付かせるためには「気付ける感性が最初から鋭い人ばかりとは限りません。それを当たり前の業務の一つとして続ければ感性が磨かれてゆき、新しく入ってきたクルー(※3)も、先輩達の仕事を見てこれが普通の仕事なんだと認識してくれます。そういう積み重ねによって、気付くことが当たり前という風土を作っていくことが大切です」と話す。
(※3)クルー:同社では、SSで働くスタッフをクルーと呼んでいる。
「他社と同じことをやっていては生き残れません。そこで、価格勝負ではなく、真似をしようと思ってもすぐには真似ができないCSに価値を見出しました。それも、単なるCS向上活動に終わらせるのではなく、経営イコールCSという強い決意で推進しています。その一環として、特にミステリーショッピングや気づき活動を通し、お客様にいかに満足して頂くかが、何よりも重要なのです」(粕谷氏)
「行ってみたくなる」「入りたくなる」「また来たくなる」という開発コンセプトの下、お客様に支持される店づくりとして「ValueStyle」の展開を04年に開始。現在では「ValueStyle」への転換が進み、600店を超えている。
